28.1.08

『閾 - Iki -』



善と悪、生と死、愛と憎しみ、光と陰、昼と夜、現実と夢、
人間と動物、幸せと苦しみ、
上と下、過去と未来、女と男、正気と狂気、左と右、
あなたとわたし。


何かを選ぶということは何かを選ばないことであって、
生きることの全ては、
更なる可能性と既にあって失われるべき可能性に満ちている。
そもそも、何かを選択するということそれ自体、絶対的な確かさをつものではない。
もしそうだとすれば、全ては、「と」で対称的に結び合いながら、
明瞭に分たれ
ているように考えられている二つのものの、
まさに閾とでも言いうる非決定性の内にある。


 常に定まることのない、移ろいゆく閾は、
「あなた」が「わたし」に、「わたし」が「あなた」に成り行く時間であり、
それを描くことは、「あなた」と「わたし」のはざまをさまよいながら、
まだ見ぬ「何か」を求める過程に他ならない。